チ(千)なるカヤという意味の名前がついています。
高さ40~60cmほどの細長い葉をツンと立てて、群落を作ります。
褐色の花穂をつけますが、5~6月になると、長さ10~20cm、幅1㎝くらいの白い穂を一面につけます。これをツバナというそうで、なめると甘い味がするそうです。
日当たりのよい空き地などに一面に生えます。
種で増えるだけでなく、地下茎と呼ばれる根のような茎を地中に伸ばし、広がった先でまた芽を出すという増え方をしますので、地上部の葉を刈り取っても地下茎が残っていればまた芽が出てきます。地下茎も甘味があるそうです。
多年草です。
冬の間に葉が枯れることがあっても、地下茎は枯れないので、春になるとまたあちらこちらから芽を出します。なにやら、この地下茎から他の植物を増えにくくする化学物質が出ていて、他の雑草を押しのけて増えていくらしいのです。
昔の人々は、このチガヤを田畑の土手に意図的に植えていたそうです。
その目的は3つあって、①土手の崩れを防ぐ、②家畜のえさにする、③田畑へたい肥として利用する、だったようです。定期的に草刈りや野焼きをして、地下茎が残っていればまたすぐに生えてくる性質をいかして利用していたようです。
地下茎を掘り起こして水洗いしてかげ干しすると、茅根(ボウコン)という生薬ができるそうです。利尿作用などあるそうです。
花穂は、止血に役立つそうです。
また、昔の家はかやぶき屋根ですが、このチガヤの茎や葉も使っていたそうです。
5月に食べる『ちまき』ですが、現在は笹や葦の葉に巻くようになっていますが、本来、このチガヤの葉に巻いたので『ちまき』なのだそうです。
やっかいな植物でありながら、さまざまな利用法があって、日本人と長くつきあってきた植物だと言えますね。
※外来種…人の手などによって外部、特に海外から日本国内に持ち込まれたり、荷物に混じって偶然にはいりこんだりした種。
※帰化種…外来種のうち、野外に定着したものをいう。

チガヤ
(イネ科)

チガヤの花 |
 |